2020年9月8日火曜日

次はキングピン

ブッシュを交換したJA22Wのジムニー。もう一つ気になるのがフロントハブだ。

ガタガタになってはいないが、この構造で長期間オーバーホールしていないと、中はどうなってる事やら・・・

折角なのでオーバーホールする事にした。こんなのやるのは昔SJ30に乗ってた頃以来だw


手動ハブロックって、こんな構造になってるんだな・・・

スプライン切ってあるブロックが動いて、ドライブシャフトに嵌合する様になってる。

エアロック式の場合は負圧が掛かって動く様になってるんだな。

ハブロック部を外すとハブベアリングのロックナットが見えてくる。

ドライブシャフトを留めてるサークリップを外す。

昔のSJ30はでっかい六角ナットだった気がするが、JA22Wの頃になるとこんな専用工具が必要になってる。純正は高いのでアストロで買ったw


ハブが外れた。

うまくやればここは外さずに作業できるのだが、ハブシールをついでだから交換したいし、ナックルを清掃するのに邪魔だから外した。

案の定シールは大分くたびれていた。

左側は以前にハブベアリングを交換した形跡があり、右よりはましだった。

ナックルの中はっていうと・・・思った通りデロデロになってるなw


ナックルシールは溶けてほとんどなくなっていた・・・
カバーのフェルトがシール替わりになってた?
まあ想像通りに凄い事になっただな・・・
シールが機能してたとしても、この構造だと外部からの塵や水分は完全には遮断できない。
長年そのままにしておくと、ナックル内部に侵入して、充填してあるグリスは劣化してキングピンも痛む。最悪ドライブシャフトの等速ジョイントを破損する可能性もある。

キングピンのベアリングはボロボロだね・・・
しかしガタガタになるほどではなかったので、24年17万Km程度でこの程度ならば、逆に考えればそんなにオーバーホールする必要もないのかもしれない。普通に使って細かい事気にしなければ、それでいいのかも・・・
しかし頻繁に四駆を使ったり泥道や水の中に入るならば、定期的に整備するべきだと思う。

ナックルはよくお湯とマジックリンで洗って汚れを落とす。
ここまでやらないのなら、ハブとスピンドルは外す必要はない。
しかし折角ならきれいにしたいよねw
黒塗りしてネジ穴はタップを立てとく。
キングピンのベアリングレースを圧入する前にナックルシールを嵌めておく。
レースを付けてしまうと出っ張りになってシールが嵌めにくくなる。
ドライブシャフトのオイルシールとキングピンのレースを圧入する。
キングピン廻りはスーパーグリスCを塗布しておく。
ベアリングだが元のは上側にのみシールが付いていたが、新しく取った物はシール付きで上下とも同じ物だった。構造からしてこんなところにシールが付いていても意味がないので、もしかしたらシミ―対策でフリクションを持たしているのかもしれない。
ナックル取り付け。
JA22Wはキングピン軸のマウントにプレロード調整用のシムが入ってる。0.1㎜と0.5㎜の二種類が設定されてる。
もともと入っていたのが上下とも0.5㎜が1枚づつだった。念のため0.1㎜を4枚と0.5㎜を2枚取っておいたのだが、上下とも0.5㎜そのままで組んでみた。
ちょっとプレロード強めか?・・・と思ったが、とりあえずそのままやってみる事にした。
構造的に若干プレロードは強めにしておいた方がいいかもしれない。ハブベアリングの様に高回転する訳ではないので若干強めでもいいだろう。
折角なので下側だけ新品の0.5㎜のシムを使った。


ナックルシールを組む。
シールのリップにはグリスCを塗布しておく。
シールはフェルト製のパッドで押さえられる様な構造になってる。確かSJ30も同じ構造だったが、JB23からはフェルトのパッドがなくなってシールに金属製の枠が付く様になってるんだよな。
まあなんというか凄い構造だよな・・・
ナックルとキングピンの球体状ベース部の隙間にはグリスCを塗りこんでおいた。
ドライブシャフトの等速ジョイント部はグリスHを塗布した。

等速ジョイントとナックル内の隙間にはグリスHを封入してスピンドルを取り付ける。

ハブシールを交換してハブを取り付ける。

ハブロックを組む。

やっと組み上がった。
ガタが大きかった訳ではないので、走りはほとんど変わらなかった。
しかしナックルシールの張力はシミ―防止に効果があるらしい。
この前キャッツアイを踏んづけたら突然ハンドルがぶれだして驚いた事があった。
60㎞/hぐらいの速度だったが、小刻みに前輪がぶれだして止まる寸前まで収まらなかった。
パンクでもしたのか?と思ったがタイヤには異常がなく、これがシミ―現象なのかと納得した。
シミ―は共振現象だけに、ちょっとしたガタや摺動状態など色々な要因が影響するんだと思う。
今回の整備でこれが改善されるのかは分からないが、やるだけの価値はあったのかもしれない。



交換した部品がこれ。
ナックルシールのカバーとリテーナーは再使用するつもりだったが、思ったより状態が悪く交換した。
部品代は定価計算だと3万円近く掛かってしまった・・・

赤く印を付けたところが交換の必要があった部品。
ちなみに上の図は現行ジムニーの部品構成。
ナックルの形状はJA22Wと違いがあるんだろうか?
もし大きな違いがないのなら、ナックルシール廻りを現行ジムニーの物を使ってみるのも面白いかもしれない。
しかしいまだにこの辺の構造は基本的に変わってないってのは凄いよな。
えらくめんどくさい作業だけど、少なくとも5~6年か4万㎞毎にはオーバーホールしたいところだよな・・・
 

8 件のコメント:

  1. むかしの人2020年9月8日 22:02

    フロントアクスルのオーバーホールお疲れ様です。
    キングピンは未整備なクルマが多いと思います。重力の関係とプリロード管理の為のシムからの浸水で上側がダメになる事が多いようです。シムは枚数を多くしない事と僅かに液ガスを塗るのが長持ちの秘訣です。
    フリーハブもガスケットが紙ですので、ガスケットニスを併用すると良いのですが、新品ベアリングでも稀に引けてきてガタが僅かに出る事があってハブナットを増し締めする事やCVジョイント折損に備えて現場修理できる余地を取る為に塗りません。
    ライブアクスルのフロントはCVジョイントがクビを振る為折損しやすいです。無論、CVが弾ける事もあります。
    ナックルのフェルトとゴムシールの交換はステアリングシミー消しに有効でして、元々のキングピン角が付きすぎている故です。リーフスプリング車の場合のキャスター調整シムでワザとキャスターを起こすのはデフのクビ角度調整とシミー消しとオフロードでのステアリングの切れ易さを狙って入る場合があります。
    ここまで作業されるのであればリアアクスルのベアリング並びにオイルシールも交換された方が良いと思います。リアのベアリングは、たった一個のボールベアリングだけで、そのサイズは360の頃から変わっていません。アクスルシャフトの位置決めはベアリングの先にある小さなカラーでベアリング共々圧入という心許ない設計です。ドラムのバックプレートと共に締めて位置決めですから、一度点検した方が良いかもしれません。しかし、不思議とここがダメになったと云うのも聞きません。その前にデフのピニオンのオイルシールがダメになるのが先かもしれませんし、カプチーノと共用のトランスミッションも5速がイカれるかもしれません。

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  3. むかしの人2020年9月8日 22:14

    追記です。
    ボールナットのステアリングギアボックスがフレーム先端に近い位置にあって雨水に晒されます。
    17ミリのプラボルトを回すと注油出来ます。中が乾いていたり、油の代わりに雨水が入っていたりする事があります。給油のついでにボールナットの遊びを詰めるとステアリングフィールがシャッキリします。JA22は電動パワーステアリングだから容易だと思います。ステアリングシャフトのジョイントがエラスティックジョイント(バイアスタイヤを切ったような奴)なので、これも交換すると良いのかもしれません。

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    1. なるほどです。
      よく考えてみるとフロントのドライブシャフトって、ハブ側とデフ側でしか抑えてないから、確かに首振りしやすいのかもしれないですね。
      リアのハブはあまり気にした事なかったけど、360の時代から変わってないってのは面白いですね。さすがスズキw
      デフのコンパニオンフランジのシールからの漏れはエブリィなどでよく見ますが、シールの交換は上手くやらないとベアリングのプレロードがずれちゃって、かえってベアリングを破損させる原因になるから困ったものです・・・
      ボールナットのユニットは外見のオイル漏れは点検しますが、中の油量はあまり気にした事なかったです。
      昔乗ってたSJ30は遊びがユルユルだった事があって、調整したらハンドリングがえらくよくなったのを懐かしく思い出しますw
      色々と情報ありがとうございます。

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  4. むかしの人2020年9月9日 21:45

    ものずきさん、高い技術と見識をお持ちのようですね。
    それに比べれば私の知識なぞ経験でしかありませんから(笑)
    デフのクビのオイル漏れ修理はワタクシも嫌です。sj30~ja11のデフはギア比こそ違えど(厳密にはja11とjb31/ja51デフキャリアは同じサイズのギア比違い)ピニオンのオフセット位置が上よりと皆共通、ja22だけが下オフセット、jb23になるとまた上オフセット(だったと思います)でして、下オフセットは漏れやすかったですね。
    ja22は過渡的なモデルでもボクシーなスタイルで軽量とカプチーノと共通のトランスミッションで気持ちよく走れました。大切にされてくださいね。

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    1. いえいえ、たいした技術もないですよw
      経験から得られた知識って非常に大切なものだと思います。
      デフの形状はいくつか種類があるんですね。オフセットが上だったり下だったりとあったとは・・・確かにに下オフセットだと漏れやすそうですね。
      JA22のミッションはカプチーノと共用だったんですか。
      シフトノブにガタがあるので、今度はその辺を直そうかと思いますw

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  5. むかしの人2020年9月10日 21:57

    ものずきさん、
    90年代中頃カプチーノのエンジン+トランスミッションのスワップがja11で流行っていて、カプチーノの廃エンジンミッションが結構な値段で取引されてました。
    f6aですとダブルカムでもシングルカムでもnaでも過給でも車検証上はf6aですし、現場検査でも云われない時期があったのです。その後ja22ではメーカーで同様の仕様をリリースしたら今度はja22のエンジン+トランスミッションがカプチーノのドナーになると云う逆転現象が起きたのですが(笑)因みにja11のトランスミッションケースは共通ですので中味を入れ替えるという手法もできます。
    釈迦に説法かもしれませんが、シフトノブのガタはエンジ色のプラのカラーがシフトノブのボール支点を支えている部位が溶けかかっている現象によるものです。支点のボールを支持しているカラーは半割です。部品は下部が単体で出ますが、上部はシフトノブとセットです。仕方がないので下部用をそのまま使います。溶けるのは経年劣化とギアオイルをシフトノブの穴から入れた時の高衣装であります。入れ易さからシフトノブ穴を給油口にしてしまうようです。でもsj10のリモコンシフト(シフトリンケージ)よりはsj30以降のダイレクトのフィールは遥かに良いです。sj10まではhゲートがよくわからない程グニャグニャでしたから。
    どんな車でも新品の状態に戻して行くファインチューニングってワクワクしますよね。

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    1. シフトノブはカラーをどうしたものか?と思っていたのですが、なるほど下側のを流用すればいいんですねw
      色々と情報ありがとうございます。
      ボロい状態だったのが手を掛けて段々調子よくなってくと、気持ちのいいものですねw

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